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図説 チェコとスロヴァキアの歴史

図説 チェコとスロヴァキアの歴史/薩摩 秀登
2021年10月30日/127ページ
目次:モラヴィア国とプシェミスル朝チェコ 繁栄と動乱のチェコ―ルクセンブルク朝からヤゲウォ朝へ ハプスブルク君主国の形成とチェコ チェコとモラヴィアの都市と農村―中世から近世 中・近世のスロヴァキア ハンガリー三分割時代からハプスブルク家の統治へ チェコにおける国民社会の形成 スロヴァキア国民社会の登場 共和国の成立・解体・再興 冷戦期のチェコスロヴァキア 連邦解体とその後


 チェコとスロヴァキアの歴史について、豊富な資料とともに解説しています。
 時代ごとの地図が多く掲載されているのがいいですね。



 1485年のチェコにおける「クトナー・ホラの協定」によりカトリックと改革派(フス派)は、相互に相手を侵害してはならないことなどを約します。
(しかし)それは紛争終結をめざした結果であり、信仰の自由の尊重という 近代的ヒューマニズムの理念 によるものではない(略)(27ページ)
 この和解協定は、ある種の宗教的多様性が認められたのは事実であるものの、必ずしも寛容の精神によるものではないことが強調されています。
 たとえ国内の混乱をおさめるための妥協であったとしても、信教の自由における個人の意思の尊重がクローズアップされたのですから、後世に与えた影響という点でその意義は大きいと思いますが。



 16世紀に栄えたチェコのヤーヒモフ(ドイツ語でヨアヒムスタール)について。
通貨の単位としての ターラー という単語を生み出し、これが ドル の語源となったことでも有名(42ページ)
 その通貨ターラーの品質が極めて良かったため、各国でその名前を採用しアメリカでは「ダラー」となったのだそうです。
 一種のブランド名といったところでしょうか。しかし、その銀貨の品質が高かったからこそでしょう。



 また、チェコの地理上の位置についてはどうでしょうか。
 大陸の中央にあって有利な場所に見えますが。
主要な交易ルートの上に必ずしも位置していなかった(略)。近世以降になってヨーロッパの経済的中心がしだいに大西洋沿岸に移った(略)。(46ページ)
 地形図をみるとたしかにチェコは周りを山地に囲まれていて、長距離の東西交易ではそこを避けて、チェコよりも北側のドイツ・ポーランド、または、南側のオーストリア・ハンガリーを抜ける方が楽なように見えます。
 また、陸運よりも、大量の荷物を運ぶことのできる海運が発達したのも一因でしょうね。



 大戦後に成立したチェコスロヴァキアという国についてはさまざまな思惑によるものだったそうです。
 チェコ人とスロヴァキア人ではなくチェコスロヴァキア人という位置づけにも理由があります。
仮に両者を分けた場合、二割強を占めるドイツ人 が一割強のスロヴァキア人を上回ってしまう(略)(93ページ)
 チェコとスロヴァキアは、それぞれ独立することが最大の目的だった。
 そのためには「妥協」としてチェコスロヴァキア人という「民族」を設定したということでしょうか?
 たしかに当時の人口構成をみると、チェコスロヴァキア人67パーセント、ドイツ人22パーセントなり、チェコスロヴァキア国内のドイツ人を押さえ込めることにはなりますが。



 また、この国家の独立に関しての矛盾について。
チェコ側は 歴史的権利 にもとづく国境線を 維持 することでドイツ人地域を取り込んだが、一方スロヴァキア側は「民族自決」を根拠に、自然的権利 にもとづいてハンガリーから 分離 (略)(94ページ)
 要は、チェコに住むドイツ人をハンガリーから独立したスロヴァキア人のように扱うのであれば、チェコのドイツ人居住区域をドイツ側に引き渡す必要があるということですね。
 しかし、国内に人口比で2割強のドイツ人が居住していたことから、第2次世界大戦前にドイツ軍の侵攻を受けることになったのでしょう。





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