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「推し」の科学 プロジェクション・サイエンスとは何か

「推し」の科学 プロジェクション・サイエンスとは何か/久保(川合)南海子
2022年8月22日/256ページ
目次:♯「推し」で学ぶプロジェクション ―応援― プロジェクションを共有するコミュニティの快楽 ―生成― 「推し」との相互作用が生まれるとき ―育成― ヒトの知性とプロジェクション ―未来― とびだす心、ひろがる身体 ―拡張― プロジェクションが認識世界を豊かにする ―救済―


 自分にとって「推し」とは何かを考えるのではなく、なぜ「推し」がそのなようなものになり得るのかについて、その行動を「プロジェクション」というキーワードにより紐解きます。
 つまり、「推し」が人に何かをするのではなく、自分が何かに気づく、できるようになる、周りを見る目が変わったという変化をもたらすことについて考察しています。
 なお、本書の「推し」については、受け身で愛好するのではなく、一般の人が能動的に何らかの行動をとる対象であると定義しています。



 アニメが上映されている大型モニターに向かって被験者がペンライトを振ってもらうという実験があったそうです。
応援しているつもりはない のに、ペンライトを前向きに振った時、その先にいるキャラクターが活躍していたら、そのキャラクターが魅力的に見えてくる(略)(23ページ)
 このことが本実験から導き出される重要な点だそうです。
 自分がその対象になんの関心がなくても、自分が能動的に行動していたら、いつの間にか関心を持ってしまうということでしょう。
 これと同じことは、何かのイベント(マラソン)の手伝いに駆り出され何らかの手伝い作業をしながら走っている人を見ているといつの間にかランナーを応援していた、という心理でしょうか?
 その結果、そのボランティアが終了して家に帰ったらマラソンのことを調べていたり。



 どうやら応援をするという行為は何らかの心理的効果を与えるようです。
「推し」を応援すると、行動でも感情でも「推し」との一体化 が生じるといえるのです。(26ページ)
 そして、その一体感が大きな快感となり、さらなる「推し」につながり、それが結果としていわゆる「沼」に入ることにつながるといいます。
 心理的な作用は理解できますが、これは商業的にかなりオイシイ状況でしょうね。
 現在のビジネスは、人の「可処分時間」を占有することによって、利益を得ることが重要だといわれていますから。



 プロジェクションとは何でしょうか。
 まずある人物「ソース(投射元)」がいて、その受け手(主体)は「表象(イメージ)」を構成します。
そして主体は、その表象を世界の 特定の人や事象に「投射」します。この表象が投射されたものを「ターゲット(投射先)」と呼びます。(41ページ~)
 この一連の動きがプロジェクションであるとしています。
 ですから、実際の人「ソース」と主体の「ターゲット」とは必ずしも一致しないことが分かります。
 これはいわゆる「偶像(アイドル)」と同様のフレームですね。つまり「崇拝(応援)」の対象と、自分の心の中の「偶像(アイドル)」とは、必ずしも一致しません。



 アイドルではわかりにくいのでモノマネ芸人の例が挙げられています。
 例としてコロッケ、Mr.シャチホコによる「美川憲一」、「和田アキ子」ではどうなのでしょうか。
モノマネされるソースは実在の対象であるが、表象が投射されるターゲットがソースとは 異なる別人 だからです。(一部略)(118ページ)
 ここで、ソースは美川憲一、表象はそのイメージ、ターゲットがコロッケにモノマネされる「誰か」ということになります。
 この場合、その「誰か」は美川憲一とは異なる存在です。
 そして、このことは私たちの日常生活における対人関係にも同じことがいえるのではないでしょうか。
 つまり、他人から見た自分は、本当の自分とは必ずしも一致しないということですね。





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お初コメします

「感情は行動の後からついてくる」を証明したパターンですね。
「鬱になりかけてる」と認識したなら何も考えず体を動かすと良い」にも通ずるものがあるかと。

あとヒトは自分の無意識内にある欲求(自己承認欲求的なもの)を満たす為に誰かに求められたいとか感謝されたいとかいった欲求を満たそうとする点でも、自分の求めるイメージを投射した誰かに「推し活」をするのでは、と考えています。
なんか語彙力なくてすいません・・・
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