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インスタグラム 野望の果ての真実(再読) 【 芸術 vs. いいね 】

インスタグラム 野望の果ての真実/サラ・フライヤー
(No Filter: The Inside Story of Instagram by Sarah Frier, 2020)
2021年7月7日/461ページ
目次:プロジェクト・コードネーム 成功の混沌 驚き 天国と地獄のはざまの夏 「さっと動いてどんどん打ち破れ!」 君臨 新たなるセレブの誕生 インスタ映えの追求 スナップチャット問題 共食い 他のフェイクニュース CEO



 いまや誰もが知るインスタグラム。その名称は?
悩んだ末に選んだのは「インスタント」「テレグラム」を組み合わせた「インスタグラム」である。(62ページ)
 その共同創業者であるケビン・シストロムやマイク・クリーガーを中心として、インスタグラムの開発・公開(2010年)、フェイスブックによる買収(2012年)、そしてこの2人の創業者がインスタグラムを去る(2018年)までの「ストーリー」を、関係者の証言によりつづっています。
 筆者によれば「本書は、私以外のフィルターをかけることな」いよう努力したとのこと。(インスタグラムの主要な機能に「フィルター」があります。)
 この記事ではインスタグラムの開発者が志向した「芸術」性について考えます。



ツイッターやフェイスブックと違い、気の利いた一言を 考えなくてもいい のもすばらしい。(55ページ) 「つぶやくのは大変です。なにを言うか、いろいろと考えなければなりません。でも、写真なら気軽に 投稿できます。」(68ページ)
 言葉よりも写真のほうが投稿しやすい。
「気の利いた一言」や「いろいろと考え」るのはなぜかと言うと、他人の評価が関わってくるからですね。
 これはある意味逆説的ですが、たとえば写真を撮って投稿してもそれは現実の姿であり、被写体の選定や撮り方などに感想を言われることがあっても、おおむね被写体自体は投稿者にかかわりはありません。
 しかし、自分の言葉となると、自己という「フィルター」がかかることになり、それは自分の責任ということになります。
 そこまで考えると、写真の投稿の方が心理的に簡単なのは理解できます。



「インタスグラムというアプリを作るだけならだれにでもできるが、インスタグラムという コミュニティ を作るのは難しい」(76ページ)
 これもよく言われることかもしれませんが、アプリは道具にすぎない。
 その道具でどんな世界をつくるか、それとも理想の世界をつくるためにどんなアプリが必要なのかということですね。
 大事なのは、まずアプリありきではなく、開発者のようにどのような世界を望み、その実現のために日々進んでゆくかという信念でしょうか。



インスタグラムに投稿される 写真は芸術 となり、芸術とは人生を実況中継するものである(略)。(59ページ) 「インスタグラムは、食べかけのサンドイッチ を投稿するような場じゃない」(303ページ)
 まず写真というものがあるのではなく、まず自分があって、写真を使うことにより人生の中でどのように理想の芸術を作り出していくか、という思いが伝わってきます。
 「食べかけのサンドイッチ」、これはツイッターにおけるツイートへの揶揄でしょうか。
 しかし、からかいながらもツイッターの存在意義は否定していないように思います。



インスタグラムは自己顕示や自画自賛の場ではなく、創造性やデザイン を体験する場である。(150ページ) このアプリが扱うのは写真だ。他人の作品や体験 を自分の名前で共有できるようにしていいのか、と。(55ページ)
 だからこそ、インスタグラムにはツイッターにおけるリツイート機能がないとのこと。
 他人の作品ではなく、あくまでも写真というツールを使って自分の世界、つまり自分の人生を公開する。
 あくまでも自分中心の創造・デザインの体験であり、それがまさに芸術であるという考え方なのでしょうか。



もともと、美と創造性を培うものとして、また、ほかの人々の暮らしが覗ける窓となるようにと作られたものなのに、自身が定めた 評価基準 によって次第にゆがみ、勝ち負けが生まれるゲームとなってしまった(略)。(372ページ) アプリそのもののデザインや、フォロワーや承認、そして、お金 を追い求めたくなるインセンティブのほうが大きな力を持つようになっていた(略)。(275ページ)
 いわゆる「インスタ映え」という、写真の公開に伴う弊害でしょうか。SNS疲れ、スマホ依存の象徴のひとつとなってしまったインスタグラム。
 また、カネが絡むようになってしまった結果、芸術性よりもいかに目立つかなどが大きな動機となってしまいます。
 しかし本書にあるように、これはシストロムらがアメリカのセレブと呼ばれる有名人に対して、インスタグラムを使うよう積極的に働きかけたことが要因のひとつではないでしょうか?
 いかに注目を集めるかという目的の道具に成り下がってしまった、というのは言い過ぎでしょうか?



 ちなみに本書にはほかのテーマがあり、それは買収元(フェイスブック)のトップと、インスタグラム創業者との確執です。
「インスタグラムの舵取りは我々に任せる、別会社であるかのように動かしていいと ザッカーバーグ は約束してくれた」
「信じるんですか?」
(122ページ)
 結果は本書のとおりです。





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